5G技術で注目を浴びている技術の一つに、NOMA(Non-Orthogonal Multiple Access : 非直交多元接続)があります。既存の技術に加え、新たに電力領域も分割する技術で、スペクトル利用効率が良くなります。
また、OFDMA(Othogonal Frequency Division Multiple Access : 直交周波数分割多元接続)は直交しているので、NOMAとは対照に、OFDMAは"OMA"と呼ばれたりもします。

左がOFDMAで、右がNOMAを適用したものです。
NOMAの通信の仕組み
当たり前のことですが、同じキャリア(周波数)で同時に送信すると、受信側で上手く信号を読み取れません。ところが、NOMAでは同じキャリアのパワーレベルを複数に分割します。分割した数だけ同時に、同じキャリアを用いても、送信できるユーザが増えるという仕組みです。
NOMAを用いた場合、同じ周波数(キャリア)でも送信できるメリットがある分、受信時に信号を個々に区別する技術が必要となります。その技術には、SIC(Successive Interference Cancellation : 逐次干渉除去法)を用います。
また、NOMAは同じキャリアでいくつかの信号を送信するので、信号間での干渉が発生する点は、スペクトル利用効率を上げた代償ともいえるでしょう。
NOMAは基本的にダウンリンクで使われます。BS(Base Station : 基地局)からユーザ端末に向かって送信する状況です。電力をどう分割するか、そして分割した電力をどのユーザ端末に割り振るか、これらはBSが決めて、全てのユーザ端末にブロードキャストして通知します。
その電力の割り振り方にそって、ユーザ端末はSICを用いて、自分だけの信号を取り出します。ちなみに、どのように電力を割り振るかは、現在研究が行われています。
SICの仕組み
BSから送られてきた信号は、自分以外の信号も含まれているわけです。この中から、自分宛のデータだけを取り出すのが、SICの役目です。
①BSはデータを送信する前に、電力をどのように割り振ったかを示したスケジュールをブロードキャストで通知します。
②信号を電力の大きい順に並び替えます(降順)。
③大きい電力の信号から順番に取り出していきます。ここで、自分宛の信号でなければ破棄します。これを繰り返すことで、自分宛の情報だけを取り出すことが出来ます。つまり、最も電力の大きい信号はSICを使うことなく、信号を取り出せます。また電力が大きい信号は、先に取り出す分、順番待ちしている他の信号との干渉を考慮しなければいけません。

NOMAの式
シャノンの通信容量の式より、以下のようになります。

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