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【MudWattなぜ光る?】底泥型微生物燃料電池の原理

投稿日:2019年3月3日 更新日:

以前、MudWattという微生物燃料電池の製品を購入して、光ったという記事を書きました。その流れで、微生物燃料電池の仕組みが気になったので、本格的に調べました。

MudWattを実際に光らせてみた記事はこちらです。

URL : https://wireless-network.net/mfc-mudwatt/



微生物燃料電池の原理

微生物燃料電池はその名の通り、微生物を用いた燃料電池の一種です。なので、微生物がいないと何も始まらないわけです。微生物がどう電池と関係しているかというと、微生物が電子を放出してくれるのです。つまり、微生物が電子を吐き出して、それを集めれば電池の完成というわけです。微生物燃料電池は太陽光電池と違って、低電圧・低電流が特徴です。オープン電圧でも1.0Vあるかどうか、というのが現状です。発電力は弱いです。


では微生物なら何でもいいのか、というとそういうわけではありません。微生物燃料電池で用いられる微生物は"電流生産微生物"と呼ばれる微生物です。または単に、"発電菌"とか"電流菌"などとも呼ばれています。微生物が代謝(生きるのに必要なエネルギーを得る生化学反応)をするときに、電子を放出してくれます。


微生物が代謝をするには、人間と一緒で有機物が必要です。実際は、微生物と有機物がそろって、初めて微生物燃料電池の完成といえます。微生物がいなければ電子を取り出せませんし、有機物がなければ、微生物が生きていくのに良い環境とは言えません。




ではもっと、化学的な内容に触れていきます。


引用元 : 国立環境研究所
URL : http://www-cycle.nies.go.jp/magazine/mame/201612.html

電池を構成する要素に電極(アノード・カソード)があります。微生物燃料電池に使われる電極は、基本的に不活性物質であるカーボン素材が使われます。微生物が代謝 (有機物の分解) をした 際に電子を放出し、それをアノード極に渡します。有機物を分解する際に、電子以外に二酸化炭素とプロトンも排出します。プロトンはアノードとカソードを仕切っている膜を透過して、カソード極側で移動します。電子はアノード極から導線を伝わって、負荷、そしてカソード極へと流れていきます。カソード極では、流れてきた電子が水と酸素と反応します。各極での化学反応は以下になっています。アノード極でのCHOは有機物を意味しています。有機物の種類によって、xyzの値は決まります。

底泥型微生物燃料電池(Sediment Microbial Fuel Cell)

実は微生物燃料電池には、構成方法によって 種類 (例えばエアカソード型微生物燃料電池)があります。WudWattは"底泥型微生物燃料電池"と呼ばれる微生物燃料電池の種類です。英語では、"Sediment Microbial Fuel Cell"と言います。名前から分かるように泥を使った手法で、2001年に、初めて論文で発表されました。単に"微生物燃料電池"というと、泥ではなく廃水を使用したものを指す場合が多いです。底泥型微生物燃料電池の概要図はMudWattを販売している会社のホームページに載っています。

引用 : 燃料電池専門店jp
URL : https://nenryoudenchisenmonten.jp/products/detail/4

底泥型微生物燃料電池であろうと、原理は一緒です。アノード側で微生物が有機物を分解したときに、電子を放出し、カソード側で電子と酸素と水が反応するだけです。構成がシンプルであるがゆえに、土壌全体に有機物・微生物・水分・酸素が揃ってしまう場合も考えられます。つまり、アノード極で渡された電子はそのままアノード極でカソード反応を起こしてしまう可能性があるということです。カソード極側からアノード極側まで酸素が透過し得るからです。それだと負荷に電子が流れないので、電流が流れないということになります。というような理由から(他にもありますが)、底泥型微生物燃料電池は一般的な微生物燃料電池(一槽型や二槽型など)よりも起電力は若干劣るとされています。一方で自然環境を利用して発電しやすいというメリットもあります。




よくMudWattを組み立ててもLEDが光らないという、記事などを見かけます。なので、MadWattを組み立てるときの注意点を紹介します。


まず土壌は栄養がありそうだな、と思われる土を選定します。電子生産微生物は以外と身の回りにいるので、基本的には栄養がありそうな土であれば、問題ないかと思います。


次に有機物を加えます。理論上は電子生産微生物が好む有機物が含まれている土であれば、あえて有機物を加える必要はありません。しかし、正直どの土が良いか分からないのが普通です。私は有機物を加えず、色々なところから土を持ってきて実験してみましたが、どれも上手くいきませんでした。したがってこのステップを省くと、LEDが光らない可能性は高くなると考えられます。電子生産微生物が好むといわれている、酢酸もしくは乳酸を混ぜると良いです。


最後に水を加えておしまいです。水がなくてもだめなので、一定量は加えます。加える量は、少し多めに入れると良いと思います。量が少ないと、土全体に水分がいきわたりません。あとは、上の図のように電極をセットすれば、MudWatt(底泥型微生物燃料電池の完成です。




実際のところ微生物燃料電池の起電力は1.0V以下なので、そのままではLEDも光らすことが出来ません。MudWattにはHackeboardという基盤が付属していますが、これで起電力を昇圧しています。


私がMudWattのLEDを光らせた記事を紹介してますので、そちらも参考にしてみてください。

URL : https://wireless-network.net/mfc-mudwatt/


また、実際に自作してみたときの記事も紹介しています。



最後まで読んでいただきありがとうございました。

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