MudWattがAmazonから届いたので、さっそく中を開けてみました。
クリーンエネルギーと聞いて、"微生物を利用した発電"を思い浮かべる人は、少ないのではないでしょうか?今回私は、微生物を用いた発電原理を調べて、興味を持ったのでMudWatt(微生物燃料キット)を注文してみました。
が・・・
「少し高いっ(笑)」
さて気になる中身ですが、こんな感じになっていました。

最初に思ったのが、微生物を入れる透明のケースが予想してものより、小さいという印象でした。中身を見てみてもうーん・・・カーボンフェルト、プラスチックケース、コンデンサ等、3,000円あれば揃えれるような中身でした。楽天市場とかだと約1万円。輸入品だから仕方ないのかな(笑)
あとマニュアルみたいなものが入っていました。これには、発電原理や使い方が載っていました。もちろん英語です。MudWattが採用していた発電構造は以下の右(一槽型)を採用しています。

引用元は、環境バイオテクノロジー学会誌に載っていたMFCに関する総説です。
URL : https://www.jseb.jp/wordpress/wp-content/uploads/09-02-105.pdf
右(一槽型)の方が左(二槽型)より、構造が単純なため低コストというメリットがあります。しかし一槽型の方は槽内の微生物が、カソードを透過した酸素に直接渡すため、有機物の反応効率が悪くなります。一応、ニ槽型の方は、酸素の水に対する溶解度(カソード側)が低いので、反応速度は遅くなります。
では、さっそく電気を取り出していこうと思います!
まずは、カーボンフェルトを取り出します。ここで工夫されていました。カソード側の方がアノード側の2倍の厚みがありました。そして、そのカーボンフェルトに導線を刺したら、電極が出来上がります。緑の導線が刺さっている方が、アノード側になります。

そしてあとは上の図(右)のように、微生物を含んだ土で挟んで、ケースに蓋をして微生物燃料電池の完成というわけです。少し見にくいですが、こんな感じになりました。土とカソードの間の空間が若干気になりますが、一度やってみましょう!

では蓋をして、基盤上のソケットに土壌・LED・コンデンサを挿します。この基盤には昇圧チップも載っていました。この微生物燃料電池で得られる電圧は、どの程度が分かりませんが、低電圧には変わりありません。なので、この昇圧チップはエナジーハーベスティング用に使われるものだと思います。そして土壌についてですが、よくある花壇の土を使っています。こんな身近なところにジオバクター菌がいるのでしょか。では電極も基盤に挿してみます。
「あれ・・・???」

「光らないっ!!!」
一応テスターで電圧を確認してみたのですが0でした。
マニュアル的なものを見ていると、どうやら採取した土壌に水を少し加える必要があったそうです。
「うーん?なぜ水が必要なのだ・・・なくても光るはずだと思うのに。」
ということで水をいれて再度実験・・・
結果は同じ!
「光らないっ!!!」
色々ネットで調べてみると、どうやらすぐには光らずに、待つ必要があるそうです。海外の論文を見ても、発電させるのに時間がかかっていました。つまり、私は早く結果を期待しすぎてました。MudWattの場合は2~3日でLEDが点滅するそうです・・・
なので、もう少し待ってみることにしました・・・
待っている間にもう少し色々調べてみました。
MusWattに関する参考になりそうな資料がありました。
URL : https://s3.amazonaws.com/cdn.teachersource.com/downloads/lesson_pdf/MudWatt_MainModule.pdf
微生物燃料電池に仕組みに関するセミナーで、とても分かりやすかったです。東京薬科大学の渡辺先生ありがとうございます。勉強になりました。
一週間ほど待ってみましたが、全く光りませんでした。
この動画で渡邊渡邉先生が、微生物燃料電池には土よりも与える有機物(エサ)の方が大切だ、とおっしゃってました。確かに、微生物燃料電池は発電菌が有機物を代謝するときに、電子を発生させるから、私は何も有機物を与えていない。つまり、「発電するはずがない!」ということが分かりました。おそらく土壌中にも、もともと有機物はあるのかもしれませんが、今回はあえて有機物を足してみます。ということで、待機中だった装置を一度洗いなおして、やり直します。
今回は思い切って土壌も変えてみます。ダイソーで売っている腐葉土を使います。ちなみに108円でした(笑)。有機物は、どこにでもある砂糖を採用します。量はどのくらいが良いのか分からないので、とりあえず小さじ一杯分くらいにしておきます。
手順は、まず水に砂糖を溶かします。そして別の容器に腐葉土を用意して、砂糖水を少しずつ加えていきます。びちょびちょになりすぎず、ドライになりすぎず、といった感じです。これもどこまで水を加えるのか分からないです。私の場合は、こんな感じに出来上がりました。

砂糖を腐葉土に混ぜたら、あとは電極とともに容器に入れて完成です。
そして「早く光らないかな」と待つこと約11時間、、、

「おおお!光った!!!」
厳密にはON・OFFの点滅を繰り返してました。周期は大体5秒くらいでした。しかし最初の点滅に気が付いた、その約3時間後、何事もなかったかのように、光らなくなってしまいました。おそらく有機物が不足したのだと思います。数日待つ必要なく、半日で点滅したので良かったです(笑)
MudWattのすごいところは、この点滅しているLEDを専用のアプリで発電量を可視化できるところです。やり方はとても簡単です。下の左の画像のように、四角い枠にLEDを入れるだけです。すると、測定が始まり数秒待つと、右の画像のように、発電力が表示されます。さらに、これを何回も測定すれば、データをグラフ化することも出来て、発電量の変移が一目でわかるようになります。

MudWattが届いてから、実際に光るまで長いこと格闘した気がします。最終的には光って良かったです。是非、参考にしてみてください。
まだまだ色々と試すことはありそうですね!
底泥型微生物燃料電池の原理についてまとめてみました。参考になれば幸いです。
URL : https://wireless-network.net/sediment-mfc-principle/
また、MudWattに倣って自作してみました。良かったら見てみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。